ファイナンシャルプランナーのリツです。
パート1続いて、パート2では国民年金基金の掛け金や加入の事例をお伝えします。
少し複雑ですが、第1号被保険者が厚生年金保険と同じく2階建ての公的年金にできる制度で重要な情報です。
国民年金基金の保険料はどれくらいなの?
国民年金の国民年金保険料は加入者全員一律の一定額です。
同じく任意でブラスαで付けられる付加保険料も加入者全員一律の一定額です。
では、国民年金基金の保険料はどうなっているのでしょうか?
国民年金基金の月々の保険料(掛け金)の月額は「自身が選択した給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別」で決まる仕組みになっていて、掛け金の上限は68,000円と決められています。
ここで、国民年金と違うのが「自身で選択した給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別」の条件です。
国民年金基金の保険料(掛け金)は、この条件の組み合わせで決まります。
加入時の年齢や性別で条件が変わるのは一般的な保険の仕組みに似ています。
さらに、給付の型・加入口数がどのような仕組みになっているのでしょう。
国民年金基金の給付の型と加入口数
国民年金基金は国民年金のように一律ではなく、どのように給付してもらうかを、決められた型から選ぶことができます。
そして、加入口数、つまりどの型に何口加入するかで受け取れる年金額が決まります。
自分の望む給付の型と加入口数を選ぶことで、豊かな老後資金の形成に役立てることができます。
加入の際は、1口目と2口目で給付の型を選ぶ方法が違います。
給付の型
給付の型
給付の種類は、老齢年金と遺族一時金があります。
全部で7種類あります。
7種類(終身保険A型・B型 確定年金Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型)
◆年金が65歳以降生涯受給できる(1口目は給付の型・口数を決めると変更できない)
終身年金(A型)…保証期間15年。年金受給前、保証期間内に加入者が死亡した場合、遺族に一時支給金がある。遺族への保証付きなので保険料割高。
終身年金(B型)…保証期間なし。加入者が死亡時、受給は止まり、遺族に一時支給金はない(一万円の支給はある)。加入者本人が受け取る老齢年金のみのいわゆる掛け捨てなので保険料割安。
◆年金を60歳・65歳以降受給できる期間が決まっている。年金受給前、保証期間内に加入者が死亡した場合、遺族に一時支給金がある。
確定年金Ⅰ型…65歳受給開始(15年確定年金:保証期間80歳まで)
確定年金Ⅱ型…65歳受給開始(10年確定年金:保証期間75歳まで)
確定年金Ⅲ型…60歳受給開始(15年確定年金:保証期間75歳まで)
確定年金Ⅳ型…60歳受給開始(10年確定年金:保証期間70歳まで)
確定年金Ⅴ型…60歳受給開始(5年確定年金:保証期間65歳まで)
※加入時50歳1月以上の人はⅣ型・Ⅴ型に新規・増口できません。
※加入時60歳以上の人は、Ⅱ型・Ⅲ型・ Ⅳ型・Ⅴ型に新規・増口できません。
加入口数と給付の型の組み合わせ方
加入口数と給付の型
加入口数は、土台になる1口目とその上に加えていく2口目以降があります。
1口目
1口目は、必ず、終身保険A型もしくはB型から選びます。
確定年金Ⅰ型~Ⅴ型は選べません。
また、加入後は、減額したり、給付の型を変更したりできません。
A型で加入した人は、掛け金を払い終わるまでA型(老齢年金と遺族一時金がある型)
B型で加入した人は、掛け金を払い終わるまでB型(老齢年金のみの型)
2口目以降
2口目以降は、全部の7種類、終身保険A型・B型、確定年金Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型から選べます。
2口目以降の口数の加入条件
1口目を合わせて上限の68000円を超えない保険料(掛け金)で加入
1口目と2口目合わせて終身保険A・B型に入った年金額を確定年金Ⅰ型~Ⅴ型の年金額が超えない保険料(掛け金)で加入。
加入口数と給付の型の事例
例:20歳(男性)になったと同時に国民年金基金に加入した場合(保険料は月額)
1口目…終身保険A型(7,350円)
2口目…終身保険A型×1口(3,675円)終身保険B型×1口(3,295円)確定年金Ⅰ型×2口(5,200円)確定年金Ⅴ型×1口(1,005円)
合計月額保険料(掛け金)20,525円
20,525円×12か月×40年=60歳満了までの保険料(掛け金額)9,852,000円
受給の状況(老齢年金額)
60歳から65歳まで…123,718円(確定年金Ⅴ型分)
65歳から80歳まで…371,154円(終身保険A型分)、123,718円(終身保険B型分)、247,436円(確定年金Ⅰ型分)=合計742,308円
80歳以降… 371,154円(終身保険A型分)、123,718円(終身保険B型分)=合計494,872円
90歳まで生存した場合の受給額
(123,718円×5年)+(742,308円×15年)+(494,872円×10年)=16,701,930円
事例の組み合わせだと、およそ78歳で保険料(掛け金)の合計額分は受給できる計算になります。
保険料(掛け金)は全額所得控除の対象
国民年金基金のメリットは、保険料(掛け金)が確定申告時に全額所得控除の対象になることです。
これによって、実質の保険料(掛け金)は実際に支払った金額よりも少なくなります。
保険料(掛け金)が、民間保険会社の個人年金の所得控除が最大5万円なのに対して、公的な個人年金の国民年金基金が全額所得控除であるのは大きなメリットです。
上記の事例での所得控除を課税所得額150万円として算出した場合(概算)
所得税と住民税で年間約37,203円が軽減されることになります。
年間の保険料(掛け金)が月額20,525円×12か月=246,300円ですから、
実質の保険料は、年額246,300円-軽減額37,203円=約209,097円と算出されます。
この保険料(掛け金)と受給額、所得税と住民税の軽減については、国民年金基金の年金額シュミレーションから試算出来ます。
国民年金の第1号被保険者で、国民年金基金に加入されていない人は、一度試算してみることをお勧めします。
国民年金基金のこと教えます⇒ パート1はこちら 種類と加入対象者
国民年金基金のこと教えます⇒ パート3はこちら 遺族一時金と60歳以上の加入